「こんなはずじゃなかった」に寄り添う。若手のリアリティショックを和らげるOJTの「翻訳力」
「実は、思っていた仕事と違いました……」
せっかく採用し、期待を寄せていた若手社員から突然切り出される退職の意思。人事・総務担当の皆様にとって、これほど心が痛む瞬間はありませんよね。入社前に抱いていた理想と、入社後に直面する現実とのギャップに戸惑う「リアリティショック」。実は、早期離職の多くの裏には、このショックによる静かな心の磨耗が隠れています。
なぜ、現代の若手はこのショックに直面しやすいのでしょうか。それは彼らが「早く一人前になりたい」「組織の役に立ちたい」という強い成長意欲を持っているからです。だからこそ、配属直後の地道な事務作業や基礎的なルーティン業務に直面した時、「自分はここで本当に成長できるのだろうか」と焦り、未来への視界が曇ってしまうのです。
ここで大きな役割を果たすのが、最も身近にいるOJT指導員の関わり方です。しかし、指導員側も「自分たちの頃はこうやって背中を見て覚えた」「最近の若手は打たれ弱い」と片付けてしまっては、溝は深まるばかり。若手が必要としているのは、根性論ではなく、目の前の仕事の「意味」を理解するための丁寧な「翻訳」です。
心理学において、物事の捉え方の枠組みを変えてポジティブに再定義することを「リフレーミング」と呼びます。OJT指導員に必要なのは、このリフレーミングを日常の対話に組み込む力、すなわち「翻訳力」です。
たとえば、「ただのデータ入力」を「プロジェクトの成否を握る、極めて重要な基盤づくり」へ。「先輩の商談への同行」を「一流の顧客対応を間近で観察できる最高の学習チャンス」へ。目の前の地味な「点」と、会社のビジネスという「線」を結びつけてあげるのです。自分の仕事がどこに繋がっているのかが腑に落ちたとき、若手のショックは「成長へのステップ」へと変わります。
また、人事の皆様にぜひ意識していただきたいのは、OJT指導員自身を「孤独にさせない」ことです。指導員もまた、日々の業務を抱えながら「人を育てるプレッシャー」と戦っています。
若手のリアリティショックを和らげる最大の防御策は、派手な研修プログラムではなく、現場のOJT指導員が「良き翻訳者」となり、若手の小さな戸惑いに寄り添う日々の対話です。まずは現場の指導員の皆様を人事が支え、ねぎらうことから、温かい育成のサイクルを始めてみませんか。


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