D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)関連 アンコンシャス・バイアスを「悪者」にしない ―― 違いを力に変えるための『自己認知』
「研修をやったら、かえって社内がギスギスしてしまったんです」ある人事ご担当者様から、こんな切実なご相談をいただいたことがあります。近年、多様性を活かす組織づくりの第一歩として、多くの企業で「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」研修が導入されています。しかしその後、現場で「それ、バイアスじゃないですか?」「そんな言い方は偏見だ」と、お互いを監視し、萎縮し合う「言葉狩り」のような空気が生まれてしまったというのです。誰もが生き生きと働ける組織をつくろうと、日々一生懸命に人と組織に向き合っている皆様だからこそ、こうした予想外のきしみは本当に心苦しいものですよね。実は、脳が生き残るための「正常な機能」結論からお伝えすると、アンコンシャス・バイアスは決して「排除すべき悪者」ではありません。心理学の視点から見ると、これは脳が日々流れ込む膨大な情報を瞬時に処理するための、きわめて正常な「効率化のシステム」なのです。「この人はベテランだからこうだろう」「若いからこうだろう」と過去の経験から自動的に推し量ることで、私たちの脳はエネルギーを節約しています。つまり、生きるために脳に備わった「誰にでもある当たり前の機能」であり、これ自体をゼロにすることは不可能なのです。