「Diversity(多様性)」から「Equity(公平性)」へ——なぜ今、スタートラインを揃える支援が必要なのか?
これまで多くの企業が、女性管理職比率の向上や多様な人材の採用といった「Diversity(多様性)」の確保に取り組んできました。しかし、目標値を掲げて制度を整えても、「なかなか意欲ある女性リーダーが育たない」「特定の層ばかりに負担が偏ってしまう」といった壁に突き当たることが少なくありません。
そこで今、世界の人的資本経営で急速に焦点を当てられているのが、DE&Iの「E(Equity:公平性)」です。
「Equality(平等)」と「Equity(公平性)」の決定的な違い
「平等(Equality)」とは、全員にまったく同じ機会や支援を与えることです。一見正しく思えますが、スタートラインや抱えている背景(育児・介護の負担、過去の経験の偏り、アンコンシャス・バイアスなど)が異なる人々に対して同じものを与えても、結果としての公平さは生まれません。
一方、「公平性(Equity)」とは、個々の置かれた状況や障壁の違いを認識し、全員が同じスタートラインに立てるよう、必要な支援や調整を個別に提供することを指します。
例えば、リーダー候補の育成において:
- Equality(平等): 全員に同じ管理職研修を案内する。
- Equity(公平性): 育児・介護などで時間に制約がある社員が受講できるよう動画アーカイブやフレキシブルな実施時間を設けたり、女性社員が抱えがちな「リーダー像への偏見(心理的ハードル)」を解消するために個別メンターやスポンサーを配置したりする。
ジェンダーギャップ解消とリーダー育成の鍵
公平性(Equity)の観点を欠いたまま「多様なリーダーを増やそう」とすると、支援がない状態での個人の努力に依存することになり、燃え尽き症候群を引き起こすリスクがあります。
本当の意味でのジェンダーギャップ解消や、多様なバックグラウンドを持つリーダーを育成するためには、以下のアプローチが不可欠です。
- 機会アクセスの障壁を特定する: 意思決定の場や評価の高いプロジェクトに、特定の人材層だけがアサインされやすい構造がないか検証する。
- 個別アプローチのキャリア支援: ライフイベントやキャリア形成の初期段階での経験不足を補うためのスポンサーシップ制度や評価基準の見直しを実施する。
- 心理的安全性の担保: 既存の「均一なリーダー像」に自分を無理に合わせるのではなく、多様なスタイルでのリーダーシップが認められる文化を醸成する。
「多様性を集める(Diversity)」段階から、「誰しもが実力を発揮できる土台を整える(Equity)」段階へ。制度の「数」合わせを超えた公平性の担保こそが、変化に強い組織を作る原動力となります。


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