コラム育成・研修関連

指示出しで終わらせない。「指示」と「問いかけ」の使い分けが部下の自主性を育てる

コラム

指示出しで終わらせない。「指示」と「問いかけ」の使い分けが部下の自主性を育てる

「定期的に1on1を実施しているが、結局上司からの状況確認と指示出しで終わってしまう」——多くの企業で管理職から寄せられる切実な悩みです。部下の自主性を引き出すための対話の場が、いつの間にか業務進捗のチェックの場化してしまう現象はなぜ起こるのでしょうか。

原因の本質は、対話における「ティーチング」と「コーチング」の役割分担が明確になっていない点にあります。心理学における「自己決定理論」が示す通り、人間は他者から与えられた指示に従うときよりも、自ら選択し決定した行動に対してより高いモチベーションと責任感(内発的動機づけ)を発揮します。

従来の業務指導で多用される「ティーチング」は、知識や答えを直接与える手法であり、業務の標準化や緊急時の指示には極めて有効です。一方で、指示待ちから脱却し自立的に判断できる人材を育てるには、相手の思考を促す「コーチング」の技術、すなわち効果的な「問いかけ」が不可欠となります。

重要なのは、どちらか一方に偏るのではなく、部下の習熟度や業務の性質に応じて両者を論理的に使い分ける対話技術を身につけることです。未経験の業務には的確なティーチングを施し、方向性が見えている業務には「どう進めるのが最適だと思うか?」とコーチングへ切り替える。このメリハリこそが、部下の思考力を鍛える鍵となります。

部下に「自立してほしい」と求めるだけでは現場は変わりません。管理職が対話の引き出しを広げ、意図的に使い分ける技術を研修等で習得する機会を整えること。それこそが、現場の1on1を形骸化から救い、組織の自走力を高める第一歩となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました