内定者フォローの次の一手。「キャリアコンサルティング」が会社と内定者の未来を変える
内定承諾を得て安堵するのも束の間、「本当に自社を選んでくれるだろうか」という内定辞退への不安は、人事担当者にとって尽きない悩みです。懇親会や事務連絡も重要ですが、学生一人ひとりが抱えるキャリアへの期待や漠然とした不安に、私たちはどこまで寄り添えているでしょうか。
この課題に対し、私は今年、新たな内定者フォローとして二段構えのプログラムを企画・提案しました。まず全員参加の「キャリアデザインセミナー」を実施し、社会人としてのキャリアの考え方や自社で描けるキャリアパスの多様性をインプットしてもらいました。その上で、希望者一人ひとりと個別に行う「キャリアコンサルティング面談」の機会を設けたのです。セミナーという「集団」での学びから、面談という「個」へのアプローチへつなげる狙いでした。
セミナー後の個別面談。私の前に座った内定者たちの多くは、当初「何を話せばいいのだろう」「うまく話せるだろうか」と、正直、不安だらけの表情をしていました。
そこで私が何よりも大切にしたのは、「評価する場」ではなく、あくまで「あなたのための対話の場」であるという雰囲気づくりです。守秘義務を約束し、「セミナーを受けてみて、どうだった?」「入社後のキャリアで、今、一番楽しみなことや、逆に一番心配なことは?」と、焦らずゆっくりと耳を傾けることに徹しました。
すると、どうでしょう。対話が進むにつれて、彼らの強張っていた表情がみるみるうちに和らぎ、最後には「話せてよかった」と、とても安心した晴れやかな表情に変わっていったのです。「自分の強みを活かせる部署のイメージが湧きました」「入社までに何を学べばいいか明確になり、モチベーションが上がりました」といった前向きな声。それらは、彼らが会社から一人の人間として向き合ってもらえたと感じた証でした。
面談の内容は、内定者のエンゲージメントを高めるだけでなく、我々、会社側にも想像以上の収穫をもたらしました。
個人のプライバシーに配慮した上で、面談から見えてきた彼らの期待や不安、ポテンシャルをレポートにまとめ、経営層や配属予定部署の管理職へ報告。これが、組織に大きな意識変革をもたらしたのです。「こんなに意欲的な新人が入ってくるのか!」「彼らの不安を解消するために、我々受け入れ側の準備がもっと必要だ」といった声が上がり、OJT計画の見直しやメンター制度の具体的な検討が始まりました。
この一連の取り組みは、単なる内定者フォローに留まりません。未来の仲間たちの声に真摯に耳を傾けることが、会社側の「受け入れ体制」や「育成文化」そのものを進化させる絶好の機会となったのです。それはまさに、未来への最高の投資と言えるでしょう。


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