D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)関連

「いる」だけでは、もったいない。インクルージョンを育む「対話」の力

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)関連

「いる」だけでは、もったいない。インクルージョンを育む「対話」の力

経営者や人事総務の皆様は、こんなジレンマを感じたことはないでしょうか。

「多様な背景を持つ人材を採用し、ダイバーシティは進んできたはずだ。なのに、どうも職場の雰囲気が活性化しない…」
「会議で発言するのはいつも同じメンバー。若手や中途採用者の意見が、なかなか出てこない…」

もし、ダイバーシティを「多様な才能が集まった状態(器)」とするならば、インクルージョンは「その才能が尊重され、安心して発揮できる状態(中身)」を指します。器に素晴らしい才能を集めただけでは、彼らが混ざり合い、新しい価値を生み出す「化学反応」は起きにくいのです。

では、どうすれば「集まっている」状態から「活かし合っている」状態へと、組織を導くことができるのでしょうか。

私、は、その鍵こそが「対話」にあると考えています。

「会話」ではなく「対話」が組織を強くする

ここで言う「対話」とは、単なる「会話」や「会議での議論」とは少し異なります。
それは、相手を打ち負かしたり、自分の正しさを証明したりするものではありません。互いの違いを前提として、「なぜ、そう考えるのか」という背景や価値観に耳を傾け、理解しようとする双方向のコミュニケーションです。

心理学の分野では、組織の生産性を高める重要な要素として「心理的安全性」が注目されています。これは、「この組織では、自分の意見や素直な懸念を口にしても、罰せられたり、恥ずかしい思いをさせられたりしない」という安心感のことです。

この心理的安全性を育む土壌こそが、日々の「対話」なのです。

無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に気づく

キャリアコンサルタントとして多くの現場に立ち会う中で、意図せずとも、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)がインクルージョンを妨げている場面を数多く見てきました。

「若いから、まだこの仕事は早いだろう」
「子育て中だから、大きなプロジェクトは難しいだろう」

こうした無意識の「思い込み」が、個人の可能性に蓋をしてしまうのです。
しかし、対話を通じて、その人自身の「本当の意欲」や「抱えている事情」、そして「ユニークな視点」を知ることができれば、その思い込みは外れます。「そうか、そんな風に考えていたのか」という相互理解が、組織の柔軟性を生み出します。

まずは「聴く」ことから始めませんか?

インクルージョン推進というと、壮大な制度改革を想像するかもしれません。しかし、本当に大切なのは、現場の血流を良くすること、つまり「対話」を増やすことです。

  • 会議の冒頭5分で、「今、感じていること」を共有する(チェックイン)。
  • 1on1ミーティングを「業務報告」の場ではなく、「考えを聴く」場と位置づける。
  • 経営者や管理職こそが、まず「傾聴」の姿勢を率先して見せる。

大切なのは、制度を作ること以上に、経営者や人事の皆様自身が「対話」の場を大切にし、実践することです。

多様な個性が安心して「自分」を表現できる組織。
それは、対話という温かい土壌から生まれます。その土壌でこそ、個人のキャリアは花開き、組織は持続的に成長していくのです。

まずは、皆様の隣にいる方の「声」に、いつもより少しだけ深く、耳を傾けてみることから始めてみませんか?

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